犬や猫は、体調を言葉で訴えることができませんので、体のバロメーターを数値的に管理してあげることが大事です。
多くの動物病院では、年1回の定期健康診断を催していますが、忙しくてなかなか行けない方もいらっしゃるかと思います。
そういう方のために、ご家庭でもお手軽にチェックできる基本的な健康管理ツールを3つご紹介します。
もちろん、素人診断はいけません。飼い主さんが体調の異変を早く察知して、大病に発展する前に動物病院にかかるための補助ツールとお考え下さい。
❑ 体温計
体温は、体のバロメーターの基本中の基本ですね。
犬猫の平熱は38〜39℃と人間よりも高いので、犬猫の体に触れると熱っぽいように感じてしまいます。慌てる前に体温計できちんと確認しましょう。
平熱には個体差がありますので、週に1回程度、定期的に体温を測って普段の体温を把握しておけば、異変にいち早く気づくことができます。
平熱より高くても低くても、何かの病気にかかっている可能性がありますので、早めに動物病院にかかりましょう。
体温計は、肛門に挿入して測ります。一時的に体温の上がる食後や激しい運動の後は避けるのがポイントです。
体温計は人用のものでも代用できますが、安全衛生面を考えると、やはり動物専用の体温計を使った方が安心です。
フレキシブル体温計は、先端の検温部分がやわらかい素材でできているため安全です。
❑ 尿比重計
人間の健康診断でも尿検査が必ずあるように、尿も体のバロメーターを知るための基本的な要素です。
尿比重とは、簡単に言うと「尿の濃さ」を表します。尿比重が高いほど尿が濃いことを示します。
尿が濃い場合は膀胱炎や尿路結石、尿が薄い場合は腎臓病や腎不全などが疑われます。
いずれにしても異常値を示した場合は、早めに動物病院で診てもらいましょう。病気の早期発見につながるかもしれません。
採尿する際は、中間尿(出初めの尿ではなく途中の尿)を採りましょう。こうすることで、尿道の常在菌や分泌物の混入を防ぐことができます。
尿比重計は、高いものは数万円しますが、ご家庭で使うのであれば、数千円の手持屈折計タイプで十分です。
❑ pHチェッカー
こちらも、尿の状態を検査するためのツール(試験紙)です。尿の酸性・アルカリ性の強さ(pH)を色で判別するものです。
pHには0~14のスケールがあり、pH7が中性、それより小さいと酸性、それより大きければアルカリ性を示します。
使い方は非常に簡単で、試験紙に尿を少量浸して、色見本からpHを読み取るだけです。数秒もかからずに結果がわかります。
犬猫の尿は、pH6.2〜6.6前後が正常値です。これを大きく下回っても上回っても、尿路結石と言う病気に発展しやすくなります。
尿路結石と言えば、人間でも中年男性がよくなる病気で、排尿時に失神しそうになるくらいの激痛を伴うことで有名ですね。
愛するペットが人知れず激痛で苦しむ前に、このようなツールをうまく活用して、早めに病気に気づいてあげてください。